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明治維新~日清戦争前(明治元年~明治25年/1868~1892)
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作詞 不詳
作曲 不詳

御国の為に尽くしたる
ますら武夫は多けれど
ここに我々軍人の
亀鑑とすべきますらおは
そもそも佐賀の兵乱に
一兵卒の身をもって
己が命を的として
一部六十余人なる
危難を救いし勲功は
太刀を洗いて紅の
雪を散らせし筑後川
その川波と諸共に
勇まし名をば流しける
その後伍長に上げられて
かの肥の国に隠れ無き
熊本城を守りつつ
世にも名高き隼人の
薩摩武夫の荒れ来るを
忠義一途のますらおは
家をも身をも打ち忘れ
ここを先途と防ぎける
都の軍に通ぜよと
重き使命を軽き身に
おぼつか無くは思えども
さすがは猛きますらおの
営に帰りて潔く
雪の肌上に墨を塗り
鶉衣に身をば窶せども
心の錦輝けり
当麻竹囲もだだならぬ
四面楚歌なる城の外
指して行方は不知火の
知らぬ道芝踏み分けて
心強くも行く先に
遠近見ゆる篝火は
敵か見方か真の闇
黒白も分かぬ真夜中に
敵の陣へと走り来て
遂に虜となりにける
皮肉を砕く荒人の
苔の下に泰然と
千苦万苦耐え忍び
守者の眠りを窺いて
七重八重なる縛の
縄を解き解き鰐の口
縛れ出でたる吉次越
方便も知らぬ山中に
またも立ち入る虎の穴
再び縛に着きたりし
心の中やいかならん
身は朝露と諸共に
消えなん者を張りつめし
矢猛心のますらおは
ただ一筋に国の為
なおも使命を達せんと
辛くも敵を欺きて
忠義を助くる神々の
庇護によりて恙無く
近衛の陣に身を投じ
野津少将にまみえしに
嬉し涙の堰あえず
暫しは声も出さざりき
やがて使命を述べければ
少将篤く労わりて
己が陣にぞ留めける
かくて三月四日には
官軍攻撃利無くして
崩れかかるを見るよりも
物に堪えぬますらおは
他人の銃を奪い取り
単身塁に突き入れど
身は鉄石にあらざれば
雨や霰と来る弾丸に
あえ無く戦死を遂げたりし
ああ類無きますらおの
身のなる果てぞ天晴れぞ
これぞ我々軍人が
亀鑑と仰ぎ慕うなる
陸軍歩兵伍長にて
谷村計介なるぞかし
見よ靖国の境内に
高く聳ゆる記念碑は
辱なくも朝廷に
その忠烈を嘉せられ
大将宮の畏くも
筆をば下し賜いたる
軍人亀鑑の四つの文字
昇る朝日に輝きて
その名は長く伝えなん
その名は長く朽ちざらん
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